クラッチのメンテナンスと言えば、
可動部とワイヤーへの注油、それに遊び調整位でしょうか。
しかし、過激な使用や距離を走ったクラッチは、
注油や調整だけではスムーズに繋がらなくなります。
以下の症状の方は、平ヤスリを一本用意して下さい。
★ディスクを新品に交換したのに滑る。
★クラッチが引きずったり、繋がりが悪かったりする。
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ご存知の様に、クラッチはディスクとプレートが均等に密着して動力を
伝える物ですが、何らかの原因でディスクが斜めになり均等に密着し
ないと、滑ったり引きずったりします。矢印の所を見て下さい。段付き
磨耗してます。
この写真位であれば大丈夫ですが、もう少し磨耗すると、この部分に
ディスクが引っかかりディスクが平行にスライドしません。
こうなると、ディスクを新品に交換しても間違いなく滑りますので、ディ
スクと共にクラッチアウターも交換しなければなりません。
しかし、私のような貧乏人ではおいそれと新品パーツも買えず、何時
も通りヤスリ一本でのリペアとなります。52歳、削りたい年頃なの。
先ずはクラッチ点検。
写真は走行距離の少ないクラッチアウターですが、これが正しい状態
ですので、これを目標に根気よく削ります。
私は、ホームセンターで手に入れたアルミ用のヤスリを使ってますが、
鉄工用の細目または中目で良いと思います。
削るコツとしては焦らない事、早く削ろうと一個所ばかり削らない事で
す。丁寧に万遍無くいろんな方向からヤスリを当てれば、平らに削れま
す。以前乗ってたTLM220も、TLM50もこの方法で再生して乗ってまし
た。何の問題も有りません。2回くらいは再生出来るようです。
まぁ、それ位乗ればバイク本体が乗り換え時期ですねぇ?充分でしょ。
削ります。削ります。
ガタが・・・
このクラッチアウターは一度ヤスリ掛けし再使用してた物ですが、ギヤ
とアウターの間にかなりガタが出てました。最大0.45mmの隙間が有り
ます。
少しは動く物ですが、これはあまりにガタガタです。危ない危ない。
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この4本のピンが痩せたのでしょう。
ボーリング屋さんに持ち込めば、新しいピンに打ち直して貰えるのでし
ょうが、予備のアウターも有りますし、外車やビンテージモデルのアウ
ターでも有りませんので、ここらでお役ご免です。
まだ滑る!と言う場合。
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ディスクも新品に交換し、段付きも取ったのにまだ滑る!と言う方は、
プレッシャープレートとクラッチセンターの平面部分 (ディスクの当たる
部分) を観察して下さい。
矢印の部分です。 白い部分はディスクのコルクが当たらない所で、外
側の黒っぽい所にコルクが当たり磨耗していきます。
私の場合0.5mmほどの段になって、ディスクの金属部分が段に当たり、
コルクがプレートに届き難い状態になってました。
ここも同じくヤスリで削り取ります。コルクの当たる部分も少しは削れま
すが、一皮剥く感じで軽くヤスリをあてます。
クラッチセンターも同じ現象が起こってます。プレッシャープレートと同
様に削りましょう。
この加工は、旋盤で削ればあっという間に終わる作業ですが、セットし
た時に少しでも狂ってると、斜めに削ってしまいかねませんので、ヤス
リで、手で削って下さい。
一見いい加減に思いますが、対象物をクルクル回しながら、 ヤスリが
色んな方向から当たるよう、(ヤスリも平面が出てませんからね) 少し
ずつ削ればかなり正確に平面が出せます。
2枚の写真は、加工後2年ほど使用した物ですが、何の問題も有りませ
んでした。
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